こんにちは。TDSCの高橋です。
日本で母の日と言えば毎年5月の第二日曜日。
これはアメリカが起源ですが、案外世界各国それぞれの『母の日』があり日付もバラバラだそう。どちらにせよ、母の日が恐らく日本で一番カーネーションが売れる日なのは間違いありません。
大抵のものには生みの親がいます。生物である僕も勿論そうですが、今このエッセイをタイプしている『パソコンというコンピュータ』を考案した人や『インターネットという技術』を生み出した人もいるはずです。であれば、弊社で取り扱っている『人工衛星』にも生みの親がいるのでは…?
人工衛星という概念が最初に示されたのは、フィクションの中。
エドワード・エヴァレット・ヘイルという作家の短編小説(1869年)の中に出てきた後、ロシアのコンスタンチン・ツィオルコフスキーの学術論文(1903年)で地球を回るための軌道速度が計算されるなど、実は100年以上前から人工衛星というアイデアは存在していたことが分かります。
人工衛星というと現代の技術!という雰囲気がありますが、アイデアの時点ではかなり以前から存在していたんですね…。
ただ、そのころの技術では人工衛星を地球に落ちない高さ・速度で打ち上げるためのロケットが開発されていないという大きな問題がありました。
ロケットの技術が一気に革新したのが第二次世界大戦中。
ロケットとしてではなく、実は敵国へと撃ち込む弾道ミサイルとして発展していった…というのは悲しい話ですが、それでもともかく、人類は宇宙へと辿りつけるほどのパワーを得ることができるようになったのです。
そして戦後1945年、アーサー・C・クラークが雑誌に投稿した論文『EXTRA-TERRESTRIAL RELAYS』(翻訳するならば、『地球外中継』というような意味)にて静止軌道衛星による電気通信のアイデアが示されました。
『高度に発達した化学は魔術と見分けがつかない。』
小説や映画作品でたまに見かけるこの言葉は、実はこのアーサー・C・クラークによるもの。
まだ人間が人間でなくサルだったころ…荒野に謎の黒い石「モノリス」が現れて…という導入から始まる有名な映画、『2001年宇宙の旅』の原作者でもあるイギリスSF作家でした。
第二次世界大戦中はイギリス空軍で少尉兼レーダー技師を務めていたアーサー・C・クラークは、1945年に前述の論文を発表。
その後はアイザック・アシモフに並ぶSF小説作家として、多くの有名なSF小説を出版しました。
そういえば、取り立ててSF小説を好んで読むわけではない僕ですが、『2001年宇宙の旅』は小説版をいつぞや読んだ覚えがあります。
当時の僕にとっては難解で読むのに苦労した記憶があるので、そのうち改めて読んでみようかな…
さて、その人工衛星というアイデアや衛星通信の生みの親ともいえるアーサー・C・クラークですが、ここでは実際に発表した論文の内容をかいつまんでご紹介したいと思います。
こうやって羅列してみると、1945年には、現在運用されている静止軌道衛星の原理は既に紐解かれていたことが分かります。
宇宙と中継することで当時では考えられないほど遠く離れた場所同士でも通信ができる!というアイデアは革新的だったに違いありません。
個人的に、電力供給の解決方法が蒸気エンジン…というのには非常に驚きました(ちなみに、現在使われているようなシリコンの太陽光電池は、1954年に誕生したそうですよ)。
蒸気で動くコンピュータといえば階差機関が思い浮かびますが、似たようなイメージなのでしょうか…。
母の日から連想して、ふと思い出した人工衛星の生みの親についてご紹介しました。
衛星通信・放送や気象予報、GPSなど今の生活に溶け込んだ、『現代の技術』のような人工衛星ですが、実は大分前からアイデアとして存在していたとは驚きです。
技術の進歩は加速度的に、とはよく言いますが、現在まだアイデアでしかないものが幾年か後には当たり前になっている…そんな面白い未来を想像してしまいますね。
母の日は終わってしまいましたが、(来月の父の日とあわせて)衛星通信に関わる身として『人工衛星の生みの親』に感謝していきたいと思います。
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